仙人

【11月18日の「ワケ有って所在地不詳」日記】
　出張で某所。
　現場を駈け巡る。
　お仕事を終えビジネスホテルにチェックイン。

　いやぁ、今日はシバれるんでないかい。
　夕飯はあったかいもんにしましょうそうしましょ♪
　赤提灯を探して歩いていると、某●●駅前に一軒の「屋台」を見つけた。
　大きく「おでん」の文字が描かれている。
　「屋台」とはいえ周囲をブルーシートのようなもので囲っているので、そんなに寒くはなさそうだ。少なくとも凍え死ぬこたぁ無いだろう。
　ブルーシートの暖簾(？)を潜る。
　
　先客は一人だけ。
　野球帽をかぶった白いヒゲ面の男。
　近所の呑み屋街で「仙人」とか「ショーグン」とかいう仇名が似合いそうな小柄で痩せた老人。
　取り敢えず「おでん」と熱燗を二合頼む。　
　あ。想像通り「おでん」美味しいや。
　
　やがて男女二人連れの客が入ってきた。
　八人も座れば満員のカウンターなので、先客とアベックに挟まれるようなかたちで席を詰める。
　男は「先客」の爺ぃと知り合いの様で簡単な挨拶を交わしている。　女性は三十過ぎくらい？　ちょっと「水商売」の香りがしないワケではない。「同伴出勤」かしらん？

　暫らくして女が後ろに廻ったかと思えば「仙人」に紙を渡した。
　「仙人」はそれを広げて懐から取り出したメモ帳のようなものに何か書き写している。
　少し気になってそのメモをチラチラ横目で覗いてみた。　ちょっと「ボウリング」のスコア表みたいだが、確証は何もない。
　女はすぐに男の隣の席に戻った。
　男が云った。
　「今日は４０点だったんだよ」
　４０点？　ぢゃ「ボウリング」ではなさそうだ。
　「〇〇君は昨日、３０点浮いたんだって」
　「麻雀」にしてもスコアとして変だ。　それに他の「メンバー」も存在しているというこっちゃね。
　いっそのこと「何のハナシですのん？」と訊きたかったんだけど、なんか怖いスジ系だったらイヤだから耐えた。
　いやぁ気になる気になる気になる樹♪
　後半は「おでん」の味すら判らなかったよぅ…
　
　そのまま頭の上に「クエスチョン・マーク」を複数浮かべたまま「BOOKOFF」で狩猟をしてホテルに帰った次第。　
　ちなみに私くらいの「ぶろがぁ」になると、日記に「オチ」がなくとも全然平気なのである。