【12月07日の「倉敷の定宿ホテルに『クリスマツツリー』が灯りました」日記】
我が会社には「営業車への給油」の際に厳格なルールが存在する。
それは「給油の量は必ず『リッター止め』にする事!」。
『端数切り』『コンマゼロ』『小数点無し』色々と言い方はあるが、要するに給油の最後は「1.0ℓ」単位にすべしという「掟」なのである。
これは「総務部」が月末に営業部全員の「給油量」を集計する際、「じゃぁくさい」とボヤく行為を緩和する効果があるといわれている。
さて本日、早朝に地元を出発し「名阪国道」を東に。
三重県桑名市の協力工場で、やたら大きな「鉄の塊」を二個「営業車」に積載する。 この為に「プリちゃん号」を同僚の「バン(以前の我が愛車)」に取り替えてもらってきた。
道中、心細くなった車に給油の必要を生じて某ガソリンスタンドに立ち寄る。
「らっさいましぇ~」
一人の若い、バイトであろう「青年」が出てきて、一般給油機の方へ誘導してくれる。
私は営業車の窓から顔を出し「これ『軽油』やねん!(ディーゼルなのだ)」と注意を喚起する。
「はぁーい。 オーライオーライ…ストップぅぅ!」
彼は私のほうへ駆け出して来た。
「いらっさましぇ~。『レギュラー』でよろしいですか?」
「ちょ、ちょっと待て。『軽油』やって言うとるやろ」
「あぁ、失礼したしやしたぁ~。 ここは『ガソリン専用機』でしゅので、ちょっとバックしてくらさぁーい」
「(しばくど…)」と心の中で舌打ちをする。
頼んないヤツだ。
よく見てみると、そこそこエエ歳してくクセに「青洟」を垂らしてやがる。
オマエは「昭和時代の阿呆餓鬼のコスプレ」か?
「『軽油』満タン。最後は『リッター止め』にしてな」
「…はぁ?」
「小数点以下『端数切り』にしてな!っちゅうとんねん。『コンマゼロ』や」
「…はぁい。了解でぇす。『軽油』満タン、入りまぁ~す!」
ンガンガンンゴゴゴゴゴー
あ、せやせや。 この間にトイレ借りておこうっと。
用を足して戻ると「洟垂れ」の彼が待っていた。
「軽油満タン出来ました! 32.8ℓでぇぇーす!」
「は…? 待て待て。 ワシ『端数切り』って云わなんだか?きみ」
彼は「ハッ」とした顔をして「少々おまちくだしゃぁーい!」とまた車の方へ走っていく。
するとすぐ踵を返して戻ってきた。
「給油口をまた開けてくだしゃーい」
て、手間のかかるヤツだ…。
半端な「0.2ℓ」だけを追加で給油しようとしている。
それがまた下手糞で必ずオーバーして、また「1ℓ単位」で入れ直してる始末。
「ズビバセェェン。ガソリンタンク、もう一杯になっちゃいました。テヘ♪」
「([テヘ♪」ぢゃねぇだろ?ヴォケッ!)エエわエエわ。ちょっと車の向きを逆にするから、そうしたらもうちょっと入るやろ」
「お願いしまぁーす♪」
「こらこら。給油口のキャップ閉めんかい! タップンタップンで溢れ出て危ないやないか。 カバーは閉めんでもエエ閉めんでもエエ!またどうせ開けなアカンやろ!」
「オーライオーライ。OKでぇーす」
車の方向を変えて再給油。 今度は上手くいったようだ。
「ありがとうごじゃいまぁーす。 『2.2ℓ』入りましたぁー。伝票にサインおねがいしまぁーつ」
彼は二枚の伝票を私に差し出して、ボーっと立っている。
「判っていると思うけど…『伝票』は一枚に切り直してや」
「はぁーい」 事務所に走っていく彼。
そこそこ「イライラ」しているのに、彼はナカナカ戻らない。
ナニをしとんねん?と事務所を見ると、色んな同僚の人に『伝票』の切り直し方を訊いているようだが、ことごとく作業を何度も失敗しているみたい。
もう呆れ返って、逆に冷静になっちゃった。
「お待たせしましつあー」
やっと一枚の伝票を持ってきた。
「サインお願いしまーつ」
私の苗字をサインする。
手渡すとその伝票をじっと擬視する彼。
「ナニ考え込んでんねん?」
「あのー…、これ何て書いてあるんでつか?」
「え? ボクの名前で『MARU●●』って書いてあんねん。 汚い字やけど、それがナニか?」
「あー。そーでつか」
すると彼はもう一枚の「控え」の伝票に、私の名前を書き込んでいる。
「あ、貴様。サインさせる伝票間違えたやろ!」
「えへへ♪」
「エヘヘやあるかい! 大丈夫か、キミ?」
「あー。 ぼく今日『風邪』ひいてて、熱がえらい出てますねん…」
休
め
よ
危ねぇなぁーー!
ヴォケッ!
PR