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【11月09日の「★(仮名)の話をしよう第一話」日記】

「さて、★(仮名)の話をしよう」(多重人格探偵『サイコ』調で)


 大学二期生の時、初めて彼に会った。
 大阪は長瀬川の川縁で、彼は数人の地元の子供に苛められ泣いていたのだ。
 その時の彼の服装は福井県から出立したままの姿で、身体にボロボロの一枚のムシロを巻き荒縄で腰を括っているだけで素足であった。
 「これこれ。福井県人を無闇に苛めてはなりませぬ」
 その子供たちに小銭を渡し、いわば★を私が買い取った形になったのである。
 「おぅおぅ。旦那様。ありがとうごぜぇます」
 「いやいや、人間として当然の行いをしただけだよ。 それに旦那様はやめてくれないか。 私はただの貧乏学生さ。 さぁ、これで服を買って何か食べなさい」
 少々の金額を彼に渡すと、彼はいつまでも泣きながら私に頭を下げたままだった。

 それが「縁」となり、★と私の付き合いが始まった。
 私の尽力により彼は住むところや大学にも進学が出来、より私を慕うようになってまるで子犬が飼い主の足元にじゃれ付くかのように付きまとうようになったのだ。
 「だ、旦那様。なにかあっしにお手伝いをさせてくだせぇ」
 「あっはっは。我が忠実な下僕よ。 そこまで云うのなら私の書斎を掃除して呉れ給へ」
 当時の私の書斎部屋は研究用の漫画関係学術本などにより、ごった返していたのである。
 「わかりましただ、旦那様。 ただ一つ約束してもらいたいのは、あっしが掃除している最中は決して部屋に入らないでくだせぇ。 覗くのもご法度でごんす」
 「あっはっは。 生意気に『鶴の恩返し』のようなことを云いおるわ。 わかったわかった。約束しよう。 では綺麗に片付けるのだぞ」
 「承知しましただ。 偉大なる旦那様!」

 その日の晩、屋敷で就寝した私の隣の書斎に彼は篭った。
 微かに隣からゴソゴソと音が聞こえたが、そのうちに私は寝入ってしまった。

 次の日の朝、さすがに物音は止んでいた。
 「おーい、★よ。 片付けはもう終わったのかい? 入るよ。入らしてもらうよ」
 私は書斎に入って驚いた。
 綺麗に整頓されていると思いきや、書斎内の蔵書は以前に増して乱雑を極め、しかもそこにはティッシュペーパーの塊が大漁に散らばっている。 そのうえ閉め切った書斎内には「栗の華」の匂いが充満していたのだ。
 その時、ティッシュの山の中から寝惚けた表情で、ムックリ★が姿を現した。 その手には何処から見つけ出したのか「18禁エロ漫画本」がしっかり握られていた。
 「あ、旦那様」
 驚いて私はこう訊いた。
 「★よ。これはどういう事態だい?」
 「おらヘンズリこいただよ

 「ドコが『鶴の恩返し』ぢゃぁーーい!」と、★を屋敷から蹴り出したのは言うまでも無い。

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